天気は良いのですが、風が強く、午後からは黄砂が飛び始めました。
このところ寝床のなかで、荷風をよんでいます。新潮版の古い日本文学全集の一冊。
このところ寝床のなかで、荷風をよんでいます。新潮版の古い日本文学全集の一冊。
均一台に並ぶことも最近では少なくなっています。でもハンディで重宝です。
その月報に佐藤春夫が「悲劇的人物荷風」という一文を寄せていて、自ら先師とする荷風を口を極めて譏っています。これを読んでいると荷風は一種の愛着障害だったのではと思わせます。正真の愛情をもって接する人を軽んじ憎悪をもってそれにむくいる。一方でかりそめの愛情関係のなかに真実性を強調する。だれしもそういう面がないではありませんが、それへの執着が「異常」であるというのです。佐藤はそうであればこそのあの作品という評価なんですが、愛憎劇もここまでいくと、それ自身が独立した読み物として立派に成立してしまいます。正直なところ、こんな人は近くにいたらかかわりたくないと感じるのですが、作品を読み始めるとそんなことは忘れてしまいます。冒頭に収められた初期の「狐」は荷風幼少のときの思い出が記されていて、「荷風散人物語」の始まりを告げるものとして読むと、やはりわくわくさせるものがあります。
*京阪電車石山坂本本線 粟津駅から石山寺行を見送る
石山―粟津間、京阪膳所―石場間、そして滋賀里―穴太間の「坂道」は石坂線の妙所。
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