2022/06/18


昨夜は寝苦しかったです。
寒いのも暑いのも苦手な小生。これから難儀な季節です。

朝早く起きて物置から取り出したのは永井荷風の『下谷叢話』(岩波文庫版)。
鷗外の史伝を強く意識しながら、自身の母方の祖父である鷲津毅堂について、
対照的な人物として配置した大沼枕山など、毅堂の周辺にいた儒者・漢詩人の動静をも含めて伝記的に綴った作品。
鷗外の史伝の主人公とは違って扱う人物は身内です。
岩波文庫で出た当時購入して一度だけ通読。鷗外の史伝の妙味には及ばない……。
なんてえらそうにして放っておきましたが、改めて成瀬哲生さんの解説を読み直してみると
「読み方」のヒントを教えられ、また興味が湧いてきた。
いや、これが味わえないのは、読み手の力不足と言われているようだ。

旧職時代、毅堂と交際のあった巖谷一六のことを扱っていましたが、その日記や漢詩文に毅堂は頻出していました。明治の初期、一六も毅堂も徴士として新政府に出仕します。
新政府を支えた実務官僚はほとんどが漢学を基礎とした旧藩のエリート(高禄ということでなく「知識人」)連中ですが、彼らの新政府の政治への対応評価は色々、その後の身の処し方も様々であったが、漢詩文は彼らにとって共通の「言語」で、立場が変わっても、詩壇や、詩会などでの交際は続く。
向島白鬚神社に建つ毅堂の碑文の揮毫も一六。荷風が巖谷小波と親しかったのは、一六と毅堂との交友もあってのことでしょう。












*午後はブラパチ

























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