2022/06/23

下谷叢話

朝から熱風が吹いて、その上快晴。
うーん。地球アブナイかも。

さて、先日荷風の下谷叢話を岩波文庫で読み通したので
こんどは最初に同名で大正15年に公刊された春陽堂版を求めました。
文字が大きくて、老眼にはやさしいです。

下谷叢話は考証に不備があったことを荷風自身が認めて、何度も手を入れているようで、
一応の定本は昭和13年にいたって『改訂下谷叢話』の名で冨山房から出たバージョン。
さらに二度の岩波の全集と続くようですが、古い所が欲しくなって北白川の古本屋で購入しました。
薄い本ですが天金、本文はきれいなんですが、外側は手擦れ、シミ、よごれが酷く、背文字はほとんどよめない状態。函なしの裸本で安かったのでしかたないです。公的な所の蔵書印はないので、複数の読者の手を渡ってきたのでしょう。この本の主人公はあえていえば、鷲津毅堂ではなくて大沼枕山ですが、いずれにしても人に迎合、阿諛追従することのない荷風のこと、「身内」といえる二人に対してもその基本は外れないのですが、枕山の処世に対する共感は感じますね。

大正15年は亡父の生まれた年。大正13年に脱稿とあるので、もうすぐ100年。
小生がこの本の最後の読者になるでしょう。たぶん。
て、こんどは冨山房版も入手してみたい。





 

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