2023/01/27

昨日信楽(たぶん多羅尾でだろう)でマイナス12.6度という最低気温が記録されたという。
ちょっと想像が付かない。北海道ならまだしも、滋賀でそこまで下がるとは驚く。一帯は煎茶の産地として知られるだけに被害が心配される。わが家のワビスケも、ちょうど盛んに咲き出したところだったのに、この寒波で花が凍てて落ちてしまった。
人間はよくできたもので、確かに寒いのだが、先週あたりとくらべると、身体が寒さに慣れてきたように思う。それでも寒さに疲れてくると、過去の同時期の記事を見返して、もう少し、とか、いやまだまだ……、などと独り言を言い始める私である。

さて、漢文自習に疲れたとき、日本の古典を読むと、なんというか心がほぐれる。
暮れから十訓抄、年明けからは発心集、それから宇治拾遺物語とわからないなりにながめている。その多くはもちろん岩波文庫に入っているが、小生はもっぱら古い角川文庫。角川はいまはソフィア文庫と名を改めて販売しているけれど、大きなKと小さなBの字を配した栃折久美子装釘の古い版が気に入っていて、均一棚で見つけては買っている。角川文庫にしたのは、注や解説が詳しいということ(とくに宇治拾遺を岩波とくらべると数倍詳しい)。もちろんもっと詳しい堅い本はいくらでもあるが、寝床で読むのには文庫本がありがたい。
今日は方丈記が届いた。発心集とおなじく簗瀬一雄の訳注。やはり参考資料が充実しているが、それよりもこの方の序文や解説の調子がよい。とくに序文は長明ともう昵懇の者のように記している。ながく研究者として親炙してきた自信と「長明愛」を感じるが、なんとなく微苦笑を誘う書きぶりなのだ。

方丈記を読んでみると、私には、長明はまだ「わび住まいごっこ」を楽しんでいるとしか見えない。それでも、時々に湧き上がってくる不安や焦燥が、徐々に深刻になっていく。ここから本当の晩年までのあいだに、彼の心情が深まってそれが発心集なんどにつながっていくのは、なんとなく同感できるところだ。






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