2025/08/04

読書月間

大学へ行かないのと暑いので外出が減り、お金を使わない。
代わりにネットで新古本をむさぼり買う衝動に突き動かされる。
一昨日買った平雅之先生の書き下ろし文庫『鎌倉仏教の中世』(法蔵館文庫・2025.5)を一気に読む。
カバーにこういう「私たちは鎌倉時代の仏教改革を過大評価しすぎてきた。顕密仏教は治承・寿永の内乱をほぼ無傷で乗り越え、中世社会を貫く文化体系へと発展した。顕密仏教に触れることなく、中世の文化・美術はもとより、国家・経済・法・政治について語ることはできない」と。
著者は小生よりは8歳上、ちょうど紛争が終わって大学入った世代だけど、いろんな分野で戦後の雑ぱくないわゆる「本質論」「規定還元論」が退潮して、あらたな枠組みが登場し始めた時代の雰囲気は共有できる。第四章の「道元禅は輸入仏教か」 に惹かれて読み出しましたが、ご自身の研究の歩みをつづった終章 「顕密体制論と私」 は筆者の史料を読み込む潔癖さと、学問的矜恃に触れてとくに興味深いものでした。あのころゼミで議論していたことが、半世紀近くを経てついにここまできたのかという感慨は大きいですね。
この書がいうように古代中世を乗り越えた顕密祈祷仏教が、それがとうとう葬式仏教に負けて地域社会の民俗に還元されていったのが近世ということか。ただ言ってしまえばそうであっても、それを史料によって実証するというのは大変な労力です。
いずれにしても専門書ながら市民向けに講演口調で書き下ろされたということも、今の時代には意味も大きい。京都の法蔵館はこのところヒット作が多いです。



久しぶりに里廻りです



 




































*読み応えのある一冊


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